岩崎忠好

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ポール・オースターの【幻影の書】(新潮文庫)を読んで

 なぜ今更ポール・オースターなのか!? と思われた方もいる事でしょうが、ア●ゾンのオススメに入っていたから何気なく買ったというだけで、特に深い意味はありません。あっ、どうも岩崎(♂)です。 何気なく買った本が「当たり」だった時「勝った!」と思うもんですが、今回ご紹介させていただくポール・オースターの【幻影の書】(新潮文庫)は正々堂々と勝利宣言させていただきます! 今まで僕はポール・オースターに関しては【幽霊たち】を読んだだけで、線で追ってる作家ではないので一概にはいえないのかもしれませんが、【幻影の書】を読む限り、ポール・オースターは映画愛に溢れた人なので、まずは映画好きな人に読んでいただきたいでござる! なんせ、インテリな映画評論家が書く様な「はぁ?」な論調ではなく「マジでLove」な方なので読み始めたら止まらなくなりますよ~ん! 僕は物語の主人公の一人称に「僕」が似合うタイプを勝手に定義付けしています。それは「ナイーブでビターな性格。そしてただ静かに暮らしたい。ところがミステリーやトラブルになぜか巻き込まれる」といったキャラクターが一人称「僕」が似合うタイプだと思っています。【幻影の書】の主人公デイヴィッド・ジンマーも「僕」が似合うキャラだと思うのですが、翻訳された柴田元幸さんはデイヴィッドの一人称に「私」を選択してます。デイビッドの職業は学者なので、確かに「私」でも違和感なくなるんだよな~。読み進めて行くうちに。

サンキュータツオさんの【ヘンな論文】(角川文庫)を読んで

 寝付きが非常に悪い僕は、布団に入ってから寝落ちするまで、ただひたすら本を読んで夜を過ごすのですが、たまに面白い本に出会うと読書に夢中になるあまり、いつの間にか朝を迎えてしまう事があります。今回読んだ本は久々に笑いながら読んだな~。そして気がつくと朝に…。あっ、どうも岩崎(♂)です。 アカデミズムの世界では、あまり日の目を見ない珍論文がたくさん存在している様です。そんな珍論文のコレクションをライフワークとしているのが “学者芸人” サンキュータツオさんです。今回ご紹介させていただく本は、そんなタツオさんが面白おかしく珍論文を紹介・解説している【ヘンな論文】(角川文庫)という本です。 まずはタイトルからして面白いでしょ~。 普通に生活している人は、学者さんが真面目に研究し、一生懸命に書いた論文が “ヘン” なわけがない、という先入観を持っているはずですが、本当にヘンなんですぅ!   いやいや、ちょっとオーバーに表現しているだけでしょ!? と思われた方も多い事でしょうから、【ヘンな論文】で紹介されている13の論文を目次から “コピペ” したのでまずはご覧ください↓一本目  「世間話」の研究二本目   公園の斜面に座る「カップルの観察」三本目  「浮気男」の頭の中四本目  「あくび」はなぜうつる?五本目  「コーヒーカップ」の音の科学六本目   女子高生と「男子の目」七本目  「猫の癒し」効果八本目  「なぞかけ」の法則九本目  「元近鉄ファン」の生態を探れ十本目   現役「床山」アンケート十一本目 「しりとり」はどこまで続く?十二本目 「おっぱいの揺れ」とブラのずれ十三本目 「湯たんぽ」異聞 大丈夫か!? 日本のアカデミズムよ! と思われた方も多いでしょうが、各論文を書かれた先生方はいたって真剣に日々研究されている方々なのです。 まず男性諸兄の目に入ってくるのは十二本目の『「おっぱいの揺れ」とブラのずれ』ですよね。「なんて羨ましい研究をしとるんじゃい!」と思われたでしょうが(もちろん僕も思った)、「ブラのずれ」は女子にとっては「あるある」のお悩みなんでしょうね~。そんな女性陣の悩みを解決すべく、おっぱいとブラについて日々研究をされているのでしょうが、“縦揺れ” だの “横揺れ” だの「地震じゃねーっつーの!」とツッコミ(というか、やっかみ)を入れたくなるのは僕だけではないでしょう。 七本目『「猫の癒し」効果』は、猫様の奴隷として生きている僕にとっては「んな事たぁ、研究なんぞせんでも経験値として十分分かっとるわい!」と思ったもんですが、猫様の研究を一生懸命やっている学者さんがいると思うと微笑ましいです。学者の先生も猫様に対してはきっとニャンニャン語になっている事でしょう。 サンキュータツオさんといえば、お笑い芸人でありながら大学で講師を務めるという “ヘンな存在” です。芸人さんとしてのキャリアのスタートは「浅草お兄さん会」という浅草キッドさんのライブだったと思いますが、タツオさんの文章には「キッドさんの遺伝子を引き継いでるわ~」と思わせる表現が節々で見えます。例えば三本目の『「浮気男」の頭の中』で、「不倫は文化だ」と言った例のあの人の事を “裸足の王様” と表現するあたりはキッドさんの流派だな~とつくづく感じました。 【ヘンな論文】の続編ともいうべき【もっとヘンな論文】もすぐにでも読んでみたいのですが、眠れなくなると困るので、翌日に何の予定も入ってないゴールデンウィークの真ん中辺りの楽しみとっておこうと思いまーす。

エリー・アレグザンダーの【ビール職人の醸造と推理】(創元推理文庫)を読んで

 なんで毎日二日酔いなんだ!? という永遠の謎をビールでも飲みながら解明してやろうと考えてます。あっ、どうも岩崎(♂)です。 最近暖かくなってきた所為でしょうか、ビールがやたらと美味しいです。因みに冬は乾燥しているからビールがすこぶる美味しいです。 冬の間中、主に布団の中で寝て過ごしていた老猫チャーリー(15歳)が、暖かくなるにつれ活発に行動する様になり、朝の5〜6時位からにゃんにゃん運動会を始めます。起こされた僕は運動会に付き合わなければなりません。運動会に飽きるとチャーリーはさっさと二度寝します。僕は3時に寝て10時に起きる生活を基準としているので、早朝運動会が終わったら僕も二度寝する事になるのですが、バッチリ目が覚めてしまった僕はビールを飲んでから二度寝します。今のところ何で毎日二日酔いなのかは謎のままです。 さて、今回ご紹介させていただく本は、僕の様なビールLOVEの人間にぜひとも読んでいただきたいエリー・アレグザンダーの【ビール職人の醸造と推理】(東京創元社)という本です。 【ビール職人〜】はアメリカ北西部のレブンワースという村を舞台にしたミステリーなのですが、日本の本格派ミステリー(新本格派も含む)に比べると犯人探しに関してはかなりサッパリとしていてバドワイザー並みの薄味です。日本で村を舞台にしたミステリーですと、例えば【八つ墓村】の様に「村の因襲」や「血の呪縛」等、ドロドロしたテーマがクローズアップされがちですが、【ビール職人~】は登場人物が軒並みいい人だらけで喉越しスッキリです。 それでは【ビール職人~】の何が面白いのかといえば、ビールに関するウンチクです! ビールを愛していながら、僕は今の今までビールの製造過程など気にした事はありませんでした…。何も考えずにガブガブ飲んでいましたよ! ホップの選び方や濾過の方法に関するウンチクなんてのは、一杯飲みながら読んだらより一層美味しく飲めますよ〜。ドロドロした暗い世界観より、美味しく飲むにはサッパリとした後味が大切なのだな〜 と悟りました。 後、アメリカってこんなにポップな感じでクラフトビール工場(規模の大小を問わず)をじゃんじゃん作っちゃっていいんだと感心しました。日本でビール産業に新規参入しようなんて考えたら、役所や面倒くさい大人とかが出てきて、何かスゲーごちゃごちゃしそうですけど…。 それでは最後に、洒落た事の一つでも言いたいので【ビール職人~】に書かれていた諺(どこの国の諺かは知りませんが)を一つ。「美しいかどうかはビア・ホルダー(飲み手)が決めるんじゃない。ビルホルダー(見る人)によって決まるんだ」って事でカンパ〜イ!

みうらじゅん氏の【キャラ立ち民俗学】(角川文庫)を読んで

 「サブカルの帝王」と評されているみうらじゅん氏といえば「ゆるキャラ」及び「マイブーム」という造語がメインストリームでも流行語になったのでご存知の方も多い事でしょうが、一般的にはあまり知られていない造語もたくさんお創りになられてます。例えば「うしろメタファー」「青春ノイローゼ」「確珍犯」「とんまつり」「仮性フォーク」等がその代表例でしょうが、そんな言葉を日常的に使っている人がいたら、それは奇人変人の類なのでじっくり観察してみると面白いかと思われます。あっ、どうも岩崎(♂)です。 表の民俗学が柳田國男、裏の民俗学が赤松啓介だとしたら、今回ご紹介させていただく【キャラ立ち民俗学】(角川文庫)は「トンマの民俗学」と位置付けして間違いないでしょう。なんせみうらさんが日本全国(ちょっと台湾)を飛び回り、様々なトンマをサンプリングしてテキスト&イラスト化して発表しています。 【キャラ立ち~】は4章立てで構成されていまして、第1章が「確珍犯」や「とんまつり」等の現代に残る土俗(仏像、天狗、土偶、道祖神等の現代に残るキャラ)、第2章は「フィギュ和」や「偽ネズミ」等の観光産業、第3章が「ゴムヘビ文化」で第4章が「地獄」に関する考察といった筋で話は進みます。 第3章でのゴムヘビ収集や、第2章での「飛び出し坊や」の現地調査、全国に分布する黒川晃彦作の「サックス・プレイヤー像」の調査等は執念を感じる、というか、ノイローゼではないかと感じれる程の調査っぷりで尊敬に値します。 なんせ第2章で紹介されている、和歌山県某地方の「笑い祭り」での神の依代役の「ストレンジ・メイク」をした安齋肇さんの写真だけでも見ていただきたい! これは是非見ていただきたい! 爆笑間違いなし! 祭りとは「バカになりきって心の底から楽しむ」事が出来る人が強いんだな~ と感じました。 みうらさんといえば、仏像ファンとしても名を馳せています。現代の若い女性にもファンが大勢いる仏像や天狗や土偶は、メジャーシーンでの大スターといった感じでしょうが、道祖神や「飛び出し坊や」はまだまだ偶像界でもインディー感が拭えません。これからの活躍に期待したいところです。