イサベル・アジェンデの【日本人の恋びと】(河出書房新社)を読んで

 今年のボジョレーはまだ飲んでいません。ちょっとした謎解きに没頭するあまり、何かその気にならないんだよな~。あっ、どうも岩崎(♂)です。

 今回ご紹介させていただく本はイサベル・アジェンデの【日本人の恋びと】(河出書房新社)という本です。

 時は1930年代、ポーランドのユダヤ系資産家の家に生を受けたアルマは、日々近付くナチスドイツの恐怖から逃れるため、両親の勧めでアメリカに住む伯父夫婦「ベラスコ家」に引き取られる事に。半強制的にアメリカへ送られた少女アルマは新天地で二人の少年に出会う。一人は従兄でありベラスコ家の嫡男である「ナタニエル」。もう一人は日本人移民でありベラスコ家の庭師であるタカオ・フクダの末息子「イチメイ」。アルマは一生をつらぬく愛に出会っていた事をこの時気が付いていたのだろうか? その庭が楽園だったとしたら原罪を犯したのは一体誰なのか? 運命に翻弄されながらも…。

 な~んて感じのストーリーがこの物語の柱になっています。この手の話は一歩間違えるとハーレクイーン的なチープなメロドラマになりがちですが、【日本人の~】は「人種差別」「尊厳死」「近親婚」等の重厚なテーマを盛り込む事により、読み応え満点の物語に仕上がっています。

 また、最重要テーマである「一生をつらぬく愛」といえば、G・ガルシア=マルケスの【コレラの時代の愛】が思い起こされ、非常に難解な小説ではないかと危惧される方も多いでしょうが、【日本人の~】は【コレラの~】に比べると難解な表現は少ないですし、主要登場人物が日本人なのもシンパシーを感じられ読みやすいですよ~。


 さて、ここ数日、僕を迷わせる一つのミステリーが出現しました。戦前に「イチメイ」というキラキラ感がある名前を当時の日本人が命名するだろうか? という案件です。漢字表記にした場合、どう表記するのだろうか? まずは「いちめい」を辞書で引いてみますと、

・一名

・一命

の2件があります。フクダ家は武家の出で、「オオモト教(おそらく大本教)」の熱心な信者という事なので「一命」が有力なのではないかと当初は考えていました。

 ところが、本を読み返してみるとイチメイ誕生秘話のパートに「彼はイチメイと呼ばれた」と書いてあるじゃありませんか! 命名されたのではなく “呼ばれた” という事はアダ名の可能性が高いわけです! その名は「生命、光、輝き、あるいは星の意味を持つ」とも書かれています。「イチ」は「一」以外に考えられません。そこで「メイ」を辞書で引いてみますと、「名」「命」以外に

・冥

・盟

・迷

・明

・銘

・茗

・瞑

・姪

・鳴

が掲載されています。この中で星を意味するとしたら「“冥”王星」か「“明”星」ですが、「光」や「輝き」に該当するのは「明」のみです。暗闇を意味する「冥」もメタファーを感じ無いわけでもないですが、やはり「明」が有力でしょう。という事はイチメイとは「一明」、本名「カズアキ」と考えると辻褄が合いうのではないでしょうか!?

 

 と、上記の様な謎解き(妄想)を楽しむ時は、ネット検索すると「あっ」という間に答えが出てしまうので、知的ゲームとして読書を楽しみたい時はネットで答え探しをしない事をオススメしま~す。レッツ エンジョイ 妄想ライフ!


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