形而上絵画!? にゃんにゃんdeキリコ!!

 先日、東京都美術館で催されている『デ・キリコ展』に行ってまいりました。と申しましても、私は特にキリコのファンではありません。しかし私も好事家です。キリコはなぜあのような作風になったのか? という文脈には興味が湧きますし、自分なりにキリコの形而上絵画から記号を読み取れたら面白いだろうな~、と思いまして、平日の午前中にノコノコと出かけた次第です。

 おそらくキリコは「いわゆるデ・キリコ的」な作品が人気があるのでしょうが、今回の展示作品の中で私の耳目を惹いたのは、古典を題材にした一連の作品群、特に『剣闘士』のシリーズでした。

 いびつな遠近法、固有名詞を奪われたかのような没個性な無人格な顔、なぜ室内で決闘!? 私は剣闘士に既視感を覚えたのです。そして、ピピーン! ときました。剣闘士は『カンタベリー物語(岩波文庫)』の挿絵(特に『騎士の物語』)に似ていると。

 カンタベリー物語は、14世紀の英文学の文豪チョーサーによって書かれた物語集です。この本は何度も書籍化されているでしょうから、その都度挿絵も変わっていると思われますが、岩波文庫版のカンタベリー物語は、調べてみたら、なんと、バーン=ジョーンズが挿絵を描いていました。

 ちゃんと色彩を施したら、カンタベリー物語の挿絵は明らかにバーン=ジョーンズの絵と分かるのでしょうが、スミ1色の線画なので、調べるまで気がつきませんでした。というか、今まで生きてきて、カンタベリー物語をそこまで気にしたことがなかったのです。

 時代的には多少被る2人ですが、キリコとバーン=ジョーンズには直接的接点はないと思います。シュールレアリズムは象徴主義の影響を受けていますし、古典を題材にしているということで、偶然的に剣闘士とカンタベリー物語の挿絵は似てしまったのでしょう。

 本来であれば、両方の画像を貼り付ければ検証もしやすいのでしょうが、著作権や何やかやでキリコ財団から怒られるのが嫌なので、みなさんご自分で検索してみてください。もしくは『デ・キリコ展』に足を運び、その足で本屋さんに行き、岩波版のカンタベリー物語を買って確認してみてください。あっ、どうも岩崎(チャーリーの飼い主)です。

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