レイモンド・チャンドラー(著) 村上春樹(翻)【プレイバック】(早川書房)を読んで

 ハードボイルドで一番有名な台詞「強くなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない」“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.” を村上春樹さんはどの様に翻訳したのか!?   ばかりが注目されちゃうんだろうな~、【プレイバック】ではどうしても。僕はあえてそこにはあまり触れない事にしますよ。あっ、どうも岩崎(♂)です。

 チャンドラー作品の中では【ロング・グッドバイ】【さよなら、愛しい人】より一段落ちだと思われがちな【プレイバック】でしょうが、僕は意外と好きですよ。純粋に面白いから。

 それまでのフィリップ・マーロウが「お前は修行僧か!」とツッコミを入れたくなる位にストイックだったのに対し、【プレイバック】のマーロウは欲望に忠実(特に美人に対して)な、「だって、男なんだもの…」とフォローを入れたくなる程に親近感を覚える人物として描かれています。結局男は美人に弱い生き物ですが、ブルース感を漂わせる悲しい女達に対するマーロウ兄貴のツンデレっぷりはアッパレでござる!  特に美脚美人に対するマーロウ兄貴の対応は他人事とは思えんよ!!!   ハードボイルドとは「男のやせ我慢」的な事がパブリックイメージなのでしょうが、目線を変えると、これ極度のツンデレだよ! 最初の出会いで印象悪くて、次に出会った時には小粋なジョークでメロメロになってんっじゃん! 

  ハードボイルドの真髄とは「ツンデレ」だったんです。それが「強くなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない」というフレーズに集約されていたのでしょうね〜。

 一連のマーロウシリーズでは、マーロウの「孤独な男のセンチメンタリズム」が読後に何とも言えない心地よさとして漂ったもんですが、【プレイバック】のマーロウは最後にちゃっかりハッピーエンドの匂いを漂わせています。僕は思いました。「マーロウよ、今まで頑張ってきたんだから最後くらいは幸せになれ」と。そうです、【プレイバック】はマーロウシリーズの事実上の最終作でもあるのです。マーロウ乙~! ってな感じですよ。

 日本の社会派ミステリーなんかを愛読している人からしたら、なんの脈略もなく急に危険を察知したり、初対面の謎の老人がペラペラとヒントの様な事を喋り出すのを「ご都合主義」と捉えるかもしれませんが、そんな固い事考えはエスメラルダの海にでも捨ててしまって、いい男といい女の小洒落た会話をウィスキーでもちびちび舐めながら楽しんではいかがでしょうか? 素敵な時間だと思わないかい? 

 あのキラーフレーズだけが注目されがちな【プレイバック】ですが、マーロウのハッピーエンドを皆で祝福してあげよではありませんか。その「やさしさ」が生きていく美学だと教えてくれたマーロウ兄貴に乾杯!

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