お笑いのテクニカルタームに「例えツッコミ」なんてのがありますが、確かにワケのわからない事象に対しては〝例え〟や〝たとえ話〟を使うと、とたんに分かりやすくなるなんて事が多々あるもんです。その反面、その〝例え〟が下手だと余計にワケのわからないカオスが生まれます。やはり〝例え〟るなら身近にあるものや、最大公約数的に認知されているものが有効なのでしょう。
僕が〝例え〟に使いやすいのでは? と思ったアイテムがあるのですが、それは『ワイン』です。ワインには銘柄(品種)の多さや年代の厚み、それぞれの香味や風味、さらには産地や生産者のドラマといった、多種多様な属性があるので、あらゆるシーンの〝例え〟に使いやすいのではないでしょうか。実際、ワインを使ってみて、僕自身が非常に分かりやすくなった事例としましては、ラングの通時態(diachrony)と共時態(synchrony)ってのがありました。
ソシュールの『一般言語学講義』という本では、ラングの通時態と共時態を木の幹で例えていますが、「木の幹なんて、年がら年中身近にね~よ!」という生活を送っている僕には、ちょっと「は?」な〝例え〟に思われたもんです。そこで僕は、木の幹を、その時に飲んでいたワインに置き換えて考えてみました。するとあら不思議。ワインを年代順に嗜む(いわゆる縦飲み)のを通時態、特定の年代の様々なワインをテイスティングするのを共時態、と自分の中で再構築して栽培した途端に「木の幹の比喩」よりピピ~ンと来た次第でございます。思わず祝杯を… あっ、どうも岩崎(男の方)です。
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