Netflix『13の理由』S2のレビュー。

今回はネタバレ満載です。きをつけて!リズです。

過去記事『Netflixオリジナル作品BEST10』で『13の理由』S1を4位に選びました。校内でのイジメを正面から捉え、問題提起に成功していると感じたためです。

ですが、S2のレビュー前に、言っておきたいことがいくつか。


1: 米国の〝典型的なジョックとナード〟は、想像以上に線引きが明確である、ということ。

私服校が多いので、服装も違う。カフェテリアで座る位置も違う。多民族国家ゆえ〝住み分け文化〟が根付いているのでしょうか?

  • ジョック→ アメフト部員やチアリーダーなどの人気者。
  • ナード→ 内向的だったり、オタクっぽい生徒。


2: 正視できないような暴力描写を含む、ということ。

〝こんなアメリカはイヤだ〟のワースト of ワーストです。性的描写についても然り。アグレッシブな肉食系が多すぎる。イジメの常套句も『尻軽』です。そっち方面に偏っています。


3: 実際に校内・社内の人間関係に悩んでいるひとは観ないほうがいいかもしれない、ということ。

大型連休明けに配信開始というのは「うーん」な気がした。学生なら、日本で最も注意すべき日は9/1、夏休み明け初日です。私は登校拒否で1年ダブりましたが、のちに先生から「登校拒否してくれてよかった」と言われました。

〝イヤなことがあっても通わなくちゃ〟や〝周囲に迷惑をかけないようにしなくちゃ〟は、とても真面目な考え方で、誠実さも現していると思います。だけど、強さとは別です。

校内や社内に深刻な問題がある場合、それが解消していない状況を受け容れないほうがいい。

自分の心からも、目をそらさないほうがいい。

恥ずかしがらないで、誰かに相談してください。もし、とりあってもらえなくても、また別の誰かに。身近なひとや専門家を、どんどん頼ってみてね。


レビューに入ります。以下、ネタバレ含む!

S1で起きた〝ハンナの自殺〟の余波を描いています。

母親が学校を提訴したため、法廷が軸。出廷した生徒・教師たちの証言・モノローグで物語が進行。それぞれの証言から、それぞれの〝ハンナ像〟が浮かび上がる。

主人公・クレイにとっては意外な証言も多く、彼女に幻滅しそうになる場面も。

同時進行で、米国のあらゆる社会問題が盛り込まれていきます

S1ではイジメと性的暴行がメインでしたが…… S2では、薬物乱用、子どもの銃器所持、家庭不和、貧富による格差、人種差別、女性蔑視と…… 盛り込みすぎじゃないか?と思いました。

中盤以降は、S1で性的暴行に遭ったジェシカが中心となって〝#Me Too〟な流れになります。このあたりから〝米国の今〟を映し出そうと、躍起になっている感が。


米国の今〟といえば、学生を中心とした銃規制運動が盛んになっていますね。校内での乱射事件が後をたたないため、なのですが。この件までもを補完しようと、S2は必死です。

これがちょっと、必死すぎる……。

最終話に向けて〝こんなに酷い目に遭ったんだから、こんなことをしようとしても仕方がないよね〟の描写もくどくなる。丁寧というより重ねすぎ。

専門家の監修、実際の事例・判例を反映させている点は、良いと思います。自殺が問題解決に繋がらないことも、きちんと伝えきっています。

俳優陣は好演していて、特にジャスティンは役者冥利につきるロール。

タイラーも、ある意味……演じ甲斐のある展開に見舞われます。でも、なんであんなにパンクに翻弄されたのかが謎。パンク=反社会的っていうのも「いまだに?」だけど。

ストーリー全体を通して「米国って諸問題をなんにも改善できてないんだな」です。

オルタナバンド・Pearl Jamが1992年に発表した『Jeremy』という曲があります。そのPVが映した〝現状〟が現状のまま (『Jeremy』の歌詞は実際の事件に基づいています)。

「Change! Yes, We Can」はどうした? 「Make America Great Again」のAgainってなに?Greatは経済面だけ?

なんとかして。終始、それに尽きる。

↑オフィシャルを転載。1993年MTV VMAのベストPV。ここで再生できない場合はリンクにて。


5/18に配信開始のお知らせメールが届いたのですが、こちらにも注意書きがありました。視聴は慎重に。

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