変身!? にゃんにゃん第三形態!!

 皆さんはカフカの『変身』を読んだ時に、グレゴール・ザムザがどんな形の虫に変身したと想像したでしょうか?   私はフナムシやゲジゲジの様に、体が節くれだっていて、足がうウジャウジャ生えているグロい生き物を想像しました。原文の冒頭及び、その他の一部分を『青空文庫』からコピペしますので、未読の人は想像してみてください↓


 ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。彼は甲殻のように固い背中を下にして横たわり、頭を少し上げると、何本もの弓形のすじにわかれてこんもりと盛り上がっている自分の茶色の腹が見えた。腹の盛り上がりの上には、かけぶとんがすっかりずり落ちそうになって、まだやっともちこたえていた。ふだんの大きさに比べると情けないくらいかぼそいたくさんの足が自分の眼の前にしょんぼりと光っていた。

ー中略ー

 かけぶとんをはねのけるのは、まったく簡単だった。ただちょっと腹をふくらませるだけで、ふとんは自然とずり落ちた。だが、そのあとが面倒なことになった。その理由はことに彼の身体の幅がひどく広かったからだ。身体を起こすためには、手足を使うはずだった。ところが、人間の手足のかわりにたくさんの小さな脚がついていて、それがたえずひどくちがった動きかたをして、おまけにそれらを思うように動かすことができない。やっと一本の脚を曲げようとすると、最初に起こることは、自分の身体がのびてしまうことだった。やっとその脚で自分の思うようにすることに成功したかと思うと、そのあいだにほかのすべての脚がまるで解放されたかのように、なんとも工合の悪い大さわぎをやるのだった。


 『変身』を読んだ私は、前述のようにグログロな形態の生き物を想像したもんですが、ネットで調べてみるとゴキブリ、ムカデ、ダンゴムシ、クモなどの意見も多い様です。それは単に「自分が嫌いな虫」を発表しているだけ、とも取れますが、人それぞれが、そのテキストを読んだ際にこしらえる〝像〟に違いが出ていて興味深いです(もし、ザムザ的虫のアーキタイプ〔共通イメージ〕があったとしたら、それはそれで興味深いですが)。

 『変身』では具体的な虫の名前を書かず、読者の想像力(や恐怖心)に委ねている部分が多いですが、これはあえて虫の匿名性を高める事により、読者個人個人のトラウマ的〝像〟を呼び起こすトリガーを機能させ、個人個人が感じる不気味さを効果的に高める、というカフカの演出なのでしょう。この仕掛けには見事にハマってしまいますね。皆様が想像したのも、トラウマ心をそそる変な虫や、気味が悪いグログロ形状の生き物なのでしょうが、人によっては映画『エイリアン』みたいな形を想像した人もいるのかもしれませんし、もっともっとグロい、根本的な恐怖像を想像した人もいるのではないでしょうか。

 ちみなに私は、トラウマや恐怖心などを考える時に、なぜか古典落語の『まんじゅうこわい』が頭の中をよぎりますが、今夜あたりは寒さが厳しいでしょうから「熱燗が1杯怖い」です。あっ、どうも岩崎(チャーリーの飼い主)です。

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