日本の歴史で人気が高いのは戦国時代と明治維新なのでしょうが、僕は古代史の方が好きです。戦国や維新は「旧〇〇邸跡地」や「〇〇の日記」等の物的証拠が多すぎて、僕に妄想させてくれる余白が少ないのです。ところが、縄文、弥生、古墳時代に関しては同時代の文字資料が無いだけに、ちょっとした考古的遺物が発掘されただけで色々と妄想がスパークします。あっ、どうも岩崎(♂)です。
今回ご紹介させていただく本は、最新版「広辞苑」でサブカルに関する項目を執筆された “学者芸人” のサンキュータツオさんが、時代劇・映画史研究家の春日太一さんに「BL」「腐」「やおい」「萌え」等についてレクチャーした【ボクたちのBL論】(河出書房新社)という本です。
自慢じゃございませんが、僕は俗物です! 異性にしか興味がないし、肉欲は人間の大きな原動力であるという信念の持ち主です。かつてプラトンが少年愛について述べた “高貴な恋”(プラトニック・ラブ)は、肉体性を排除した「魂の恋」という論調ですが、僕ははっきり言って信用していませんでした。
ところが、【ボクたちの~】を読んでいるうちに、タツオさんが春日さんに一生懸命レクチャーしている風景を想像してしまい、その風景を微笑ましく感じる様になってきてしまいました。「この感情がひょっとして “腐” なのか…?」
さらに読み進んでいくうちに、ピーン!ときました。僕が猫を溺愛しているのは、男女を問わず全人類に共通して内蔵されているという「乙女回路」が発動しているのでは…!? いや、すでに母になっているのではないのかと!?
僕は仕事中に『熱量と文字数』や『東京ポッド許可局』といったタツオさんが出演している番組を聞きながら作業をする事が日常的にあるので「BL」や「萌え」に対しては、ある程度の予備知識があると自認していたのですが、【僕たちの~】を読んで自分の無知さを自覚しました。率直な感想を述べさせてもらいますと「その世界は、ミニマルな情報から無限の宇宙を妄想するという、禅や盆栽の様な高次元な世界」といった感じです。正直、僕にはまだまだ分からない事が多い世界ですが、何か面白い物が出土しそうな予感のする世界です。興味のある方はぜひ発掘作業をお勧めします。
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