闇というものは、ただ視界を奪うだけの存在ではありません。それは時に私たちに問いを投げかけます。「本当に見ているものは、どこまでが現実なのか」と。
ニュースも、噂も、説明のない出来事も、まるで壁に映る影(洞窟のイデア)のように、形だけを残して流れていきます。人はその影を真実だと思い込み、それ以上奥にあるものを、あまり疑おうとはしません。
けれど、闇に目が慣れてくると、不思議と、影とは違う〝何か〟が見え始めます。それは強い光ではなく、触れようとすると消えてしまいそうな、静かな輝きです。
恋愛も、きっと同じなのだと思います。相手の言葉や態度は影にすぎず、本当に人を惹きつけるのは、その奥にある形のないもの。理由を説明できないのに、なぜか「これだけは本物だ」と感じてしまう瞬間。迷宮の暗闇は、出口を隠すためにあるのではなく、何が本質なのかを、選び取らせるためにあるのかもしれません。
光は、外から与えられるものではなく、もともと心のどこかに知っていたものが、ふいに思い出されるだけなのかもしれません。
そして今夜、出口に向かう暗闇の中で交わされる言葉が、ただの影ではない何かを、そっと照らし出します。あっ、どうも岩崎(チャーリーの飼い主)です。
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