世の中には、不思議な「見えなさ」がいくつもあります。官房機密費なんてその典型です。どこから来て、どこへ消えたのか、誰も本当のところを知らない。
そして最近では「狐憑きの女王陛下」が、謎の宗教団体から高額の〝説明のつかない献金〟を受け取っていた、なんてニュースもありました。不気味で意味不明なヘラヘラ笑いと、黒塗りの書類だけが残るあたり、世の権力というものは、つくづくロマンチックとは無縁だなと思わされます。
でも、それと同じ〝見えないもの〟が、恋愛の世界には堂々と息をしています。
誰かを好きになった理由なんて、献金の流れよりずっと追跡不可能で、心の帳簿はいつだって赤字か黒字かも怪しい。言葉にした瞬間に消えてしまう想いもあれば、言葉にできないからこそ長く残る感情もある。人はいつも、自分の都合のいいところだけ見つめようとして、見たくない部分には黒い墨を塗る。そして恋になると、その癖はさらに加速します。
僕は思うんです。愛というものは、お金の流れより不透明で、クラウドワークスのユーザー名より匿名性が高い。けれど、その曖昧さにこそ、心がひそかに惹かれ、振り向いてしまう何かがあるんだと。
ファジーな想いほど、美しく見えることがあるのです。だから結局のところ、世の中でいちばん謎深いのは、いつだって、人の心なのだと思います。あっ、どうも岩崎（チャーリーの飼い主）です。
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