【捜神記】(平凡社ライブラリー)干宝〔著〕 竹田晃 〔翻〕を読んで

 「」という王朝(265〜420年)の衰退から滅亡期には、それを予兆した数々の素っ頓狂な事件(変な動物が生まれたとか、トンマなファッションが流行ったとか…)が多発していた様でございます。

【捜神記】に記されている晋王朝にまつわる凶兆説話がどれ位あるかをざっと数えてみましたところ、40〜50編はある様です。っていうか第七巻はほぼ「」の滅亡予兆のお話ばかりです。あっ、どうも岩崎(男の方)です。


 そもそも【捜神記】とは、東晋の時代に干宝という人が “サンプリング&リミックス” したといわれている書物です。

 今回ご紹介させていただく平凡社ライブラリー版の【捜神記】には、現存している一巻から二十巻、計461遍の『志怪小説』が収録されていますが、小説とよべるのかどうかは小説の定義にもよりますので、以降は『お話』or『説話』と記させていただきますね。

 ではでは、収録されているお話の特徴を簡単にご紹介させていただきますので、おヒマな方や、“訳”あって自宅から出られないという様な方は「のんび〜り」とお付き合いしてくださいまし。

 まず、一巻から五巻までは民間に流布していたっぽいお話が多いです。例えば、「〇〇(地名)の ●●(人物名)は、□□(時代)の頃の人である。あるとき●●が△△△をしようとしたとき〜」といった様な、民俗学風味のテイストで展開していくお話が多いのが特徴の様です。

 続いて、六、七巻は『漢』と『晋』両王朝の衰退〜滅亡の凶兆説話が多いです。

 しかし、八巻になると打って変わって、湯王や太公望の様な、名君や聖王にまつわる説話が多くなります。これはボケナスな国家元首にウンザリした人たちが、古代の聖王に憧れを抱いた(もしくは、正しい政治を渇望した)という事なのでしょうね〜。

 九巻以降の特徴は、怪談話や不思議なお話、土着神話っぽいお話が多いという事でしょうか。

 これらの説話は、実際に民間伝承をサンプリングしたのか、著者とされている干宝のオリジナルアルバムなのかは今となっては知り様がありませんが、僕が思うには、この様に各地の様々な時代の説話が収録されているということは、編集者が複数いたのでしょうね〜。そして、各編集者がそれぞれに担当しているコーナーがあったという事なのでしょう。それをまとめていた編集長が干宝だったと考えればスムーズです。また、時代的に干宝が没してからの説話も収録されているので、後の時代に誰ぞが新たにペンを入れたり赤字を入れたのでしょう。


 はっきり言って【捜神記】には完成度の低いお話や、同じ様な説話が何遍か見受けられたりします。コンビニエンスに怪異談を楽しもうと思ったら、面白い怪異談(【捜神記】収録のお話も含む)だけを収録している岡本綺堂の【中国怪奇小説集】や、駒田信二の【中国怪奇物語】シリーズを読んだ方がよっぽどラク〜に楽しめます。しかし、あえて【捜神記】を読むという苦行をした方が悠久の古にトリップできるのですよ!!!!

 僕のオススメ【捜神記】読書方としては、ブライアン・イーノの【Ambient 1: Music for Airports】を「のんび〜り」と聴きながら読んでみる事をオススメします。トリップ感がハンパないっす。これにて “訳”あって自宅から出れない方もGood tripをお楽しみいただけると思いますよ〜ん。

Subcelebrity Race ~サブセレ

有名じゃないけど、ググられたら正体バレる。 そんな、セレブ(有名人/著名人)でもなく、無名でもない『サブセレブ』たちがお送りする 〝超完全娯楽サイト〟────サブセレ。 映画/ドラマ/音楽/アニメ...なんでもレビュー!そして、創作活動あれこれ!是非ともご閲覧&ご参加ください。

0コメント

  • 1000 / 1000