いつから春日太一さんの本を読む様になったのかは、今でははっきりとは覚えていませんが、水道橋博士さんが『天才 勝新太郎(文藝春秋)』をあらゆる媒体で猛プッシュして以来なのは間違いございません。あっ、どうも岩崎(♂)です。
サブカル系芸能文学では、水道橋博士さん吉田豪さん両氏が長い間ジャンルを牽引してきたのは周知の事実ですが、『勝新本』以降の春日さんの活躍は両氏に比肩する位の勢いがありますね~。正に、飛ぶ鳥を落とす勢いってやつです。
って事で、今回は10月5日に発売された春日太一さんの【すべての道は役者に通ず(小学館)】をご紹介させていただこうと思います。
そもそも、博士、吉田両氏と春日さんの違いは何なんだろう? と秋の夜長に寝ないで考えてみたのですが、その一つには「目線」の違いという事があるのではないでしょうか。
吉田さんの『人間コク宝サブカル伝』や博士さんの『芸人春秋』が、やや斜め目線(水平軸)で書かれているのに対し、春日さんの作風は、大好きな人に対してのキラキラした少年の眼差し(完全な垂直軸)で書かれているという風に僕には感じられます。春日さんの取材対象に対する熱量は変態の域に達してると言っても過言ではないでしょう。その熱量が『勝新本』ブームを起こしたんでしょうね~。
今作『すべての道~』でもその熱量は失われておりません。23人のベテラン俳優さん達にインタビューし、その芸論や哲学を見事に聞き出しています。
僕の様な素人考えですと、役者さんという生き物は独自論が強いイメージがありますが、『すべての道~』を読んでいますと「〇〇先輩から教えられた演技論が理解できる様になった」的なエピソードや、「コメディーは笑わせようと思ったらダメ」的な重複するコメントが多々ありまして、ベテラン俳優さん達は演技のイデアの様な、僕らには理解できない「何か」を達観しているのでは!? とさえ思えてきました。それがいわゆる「道」なのでしょうね~。「道」はあらゆる職業や、生き様に通じる事かもしれません。
…。
な~んて事ばかり言ってると、堅いだけの真面目本と思われるかもしれませんが、火野正平さんの命名秘話や江守徹さんの毒舌っぷり等、クスッと笑えるエピソードを節々に入れている所などは、緩急をつけたナイスピッチング! と「アッパレ」をあげちゃいますね~。栞、ないしは栞紐を着けて無いところは版元さんに「喝~!」って感じですが d( ̄  ̄)
好きな俳優さんのインタビューを読んだ後に、その俳優さんの出演している映画を観たりするのも秋の夜長には良い過ごし方かもしれませんね。僕は『龍三と七人の子分たち』でも観ようかな~なんて計画してまーすよ~ん。
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