あねキャバ!〜第6話『テコ入れキャラは何故だか愛おしい』

すんません……戻ってきたリズです!

いまさら更新して誰がこの話を憶えてくださっているのか?

わたしの関西弁がデタラメってことだけは思い出してください。

登場人物表はコチラ

第1話〜第5話はコチラ


【これまでのあらすじ】

チカンの冤罪でオトンが失業した。一家は芦屋の豪邸から恵比寿のあばら家に転居。

その後、オトンは貧乏暮らしの姉弟を残して失踪。

法学部で弁護士を目指す弟・のために、姉・未散はキャバ嬢になった。

なんやかやで未散にストーカー行為をするようになったコンビニ店員・善光はイイ奴だった。しかし、なんやかやで未散の上客になったIT社長・英司は厄介だった。

善光と馨は大学の同級生と判明。未散の親友・茉莉花は善光に一目惚れした。

一方、運転免許証取得の合宿で、馨はという女子と出会う。合コンで再会し、メルアドをゲット。

(*このプロットを書いていた頃、LINEなんてモノは影も形もなかった)


メルアド……メルアドゲットやぁ……。せやかて鼻持ちならんオンナやし……なんも嬉しいことないでぇー!!」

 朝イチ。布団の中で叫ぶ馨。勢い良く襖を開けると、ちゃぶ台に頬杖を着いた未散。

あら、かおるくんおはよう。きょうもはやいのね

 皮肉たっぷり。

「かおるくんにつたえたいことがあったのよ。ゆうべ、るすでんに……」

「ミチル、もうええわ。僕が馬鹿やった。東京弁は止めや」

「ほんなら、言うで!留守電聞いたらな、保奈美ちゃん東京来る言うてたわ。しばらくウチに住むやて」

「保奈美が !??」

 月野保奈美(20)。小さい頃から馨を追い回していた大阪のハトコである。馨はそんな保奈美がうっとうしくてうっとうしくて堪らなかった。そんな保奈美が居候……。

あかん、またストーカーや」頭を抱える馨。


 学校ではメールの送信ボタンが押せず、悩む馨。裕也はエリとうまくいっているらしい。悶々としていると善光が声を掛けてくる。「やあ!

 学食、図書館、中庭。しつこく付きまとい、未散のことを訊いてくる。

 イライラしながら夕食の買い出しを終えて家に帰る。すると……

かおるくーん!!

 いきなり保奈美に抱きつかれた。家のなかからは美味しそうな夕食の香り。

 座敷では、未散と茉莉花と、善光までもが、ちゃぶ台を囲んでビーフストロガノフを食べている。モグモグと口を動かしながら未散が言う。

「あー、おかえり馨君。保奈美ちゃんのビーフなんとか、めっちゃうまいでぇ」

「……こんな高カロリーのもん食うてなぁ。太っても知らんで……」

ようやく馨が声を絞り出した。保奈美はピカピカの笑顔。

「きょうからはホナがお夕飯作ります☆馨君はなんもせんでええんよ」

「ええヨメや!ガハハハ!」

 立て膝で高笑いの未散。茉莉花が「ホンマやわぁ」、善光が「良かったな!馨君!」。


『最近、家にやたらと人が集まります。挙げ句の果てには居候まで転がり込んで、オレはノイローゼになりそうです。こんなオレと遊びませんか』

 自室の布団に正座して、しかし脱力しながら、やっとで馨は葵にメールを送ることができた。

「あかんやろ……あかんやろなぁ……」

 布団に突っ伏す馨。そこにメールの着信音。『いいよ、いつ?』そんな短いメールに感激を噛み締める。


 出勤した未散。「VIPルーム、ご指名だよ」の言葉も、ちっとも嬉しくない。

「よう来たな……まぁ飲めや」

「それがVIPに対する言葉かな?キミは本当に面白いコだね。のめりこんでしまいそうだよ」

 相変わらずトばしている英司である。

「これ、僕セレクトの『福袋』さ。開けてごらん?」

 紙袋を手渡され、開くと、出るわ出るわ『カルティエ』『シャネル』『ヴィトン』……。

 「ほな、遠慮なく」と、受け取る未散。ノロノロと水割りを作る。「ドンペリ入れてよ」いたずらっぽく微笑む英司にゾーッとする。

「ほな……遠慮なく」

 ドンペリを開けると、英司が語りだした。

「僕ね、九州のみかん農園の生まれなんだ。両親は要領が悪くて家計は火の車だった……。妹を大学まで出してやったのは僕なんだよ。小さい頃、よく僕を叱った親父は小さくなって……母さんの手術費用を出したときは僕に土下座したよ。キミはいつまでも僕を怒鳴りつけてくれそうだ。なんだかホッとする」

 「……」しばらく考えて「ほな、これからは優しくしましょ」未散はわざと冷たく言い放った。


 深夜、未散が帰宅すると、善光と茉莉花と保奈美がバカ騒ぎしていた。

 やれやれと、馨の寝室を覗くと……。「ぶーっ!!」未散は噴き出した。

鼻パック!鼻パックや!!

 馨の顔面を指差し、未散は笑い転げる。

ナニ笑うてんねん!! 僕かて年頃の男の子や!!

 ふーっと笑い終えて、馨と向かい合って座った未散は

「ええ子や。馨とおれば、うちはいつでも笑顔になれるんやで」と、馨の頭を撫でた。

「なんや、鼻パックくらいで。アホらし」馨は恥ずかしそうにうつむいた。


それじゃあ、どこまで優しくしてくれるのかな

 布団に入って、店で英司に言われたことを思い出す。

『正直、僕も忙しい身だからね。毎晩ここに入り浸るわけにはいかない』

 寝返りを打つ未散。

『キミが僕の帰りを待っていてくれたら最高なんだよね』

 テーブルに差し出された鍵。

『お父さんの借金……馨君の学費……なにも心配はいらないよ。ここで働き続けなくてもいいんだ』

「うちは、アンタがおらんかて売れっ子や。アヤノも歯ぎしりして悔しがっとる。うちが盛り上げると、みんなが喜ぶ。それでええんや」

 布団をかぶって呟く。

なにも心配はいらない。馨君だってキミの心配をしなくて済むんだよ

「馨はそんな子ちゃう。馨はうちの世話を焼くのが好きなんや。うちがおらんようなったら馨かてガックシや!」

 布団からガバッと起き上がる。「せやせや、アホらし!もう寝よ!」

 再び布団をかぶる未散だが、安眠することはできなかった。


→第5話『標準語でも関西弁でもイケてるのはイケてるヤツだけ』


まずは、あけましておめでとうございます。春節でしたね!

最近、お仕事でネイティブ関西弁の方とご一緒する機会が多かったので、かなり恥ずかしい更新っす。

わたしは東京しか知らないんですが、たま〜に母譲りの伊豆弁が出ちゃうことがあるんです。

「〜ら」「〜だら(だろう)」「〜じゃ(じゃん)」などです。

母が「〜ずら」と言ってるのは聞いたことがありません。

一般的に『伊豆弁=ズラ』なのが不思議です。攘夷がJOY!!……ってヅラネタ。

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