プラトンの『ゴルギアス』でソクラテスが言ってた「快楽のための弁論」と「魂をよくするための弁論」の違いでいえば、石破首相は間違いなく後者のほうです。でも政治の世界は、残念ながら前者ばっかり求められるんですよ。
先週、石破首相が辞任するというニュースが入ってきました(以下敬称略)。僕はアンチ自民ではありますが、自民党内で論理的な政治家といえば石破茂だと考えていました。
石破って、自民党のなかではずっと「浮いてる人」だったんですよね。防衛に強いタカ派として出てきたのに、いつの間にか「リベラル扱い」されて、党内でも煙たがられて、頭脳がアレなネット右翼からも嫌われるという有り様でした。理由はシンプルで、彼がやってるのは「デタラメなリップサービス」じゃなくて「論理や理屈で攻める説明」だからなんですよね。
その結果どうなったかというと、彼は「真面目だけどウザい人」みたいな扱いにされちゃいました。でも、ちょっと考えてみてほしいんです。次期総裁候補として名前があがってる高市早苗や小泉進次郎と比べたら、石破のほうがよっぽどまともじゃないですか?
高市はカルトっぽい極右イデオロギーで突っ走りがちだし、小泉Jr.はアホポエムばっかりで中身がスッカラカン。石破って、唯一「ちゃんとした説明書付き」の自民党政治家なんですよね。石破が外されるっていうのは、カルトでもない、ポエムでもない、まともな説明書を自分からゴミ箱に捨てちゃうようなものなんです。
焼肉屋で、カルビやタン塩を注文して盛り上がってるときに、「サラダも食べません?」って言う人。それが石破なんです。結局みんなに「空気読めよ」って返されて、サラダは注文されない。でも、後で胃もたれして「やっぱ野菜必要だったな…」と後悔する。その予感こそが、石破茂というテクストを読むうえでの一番の緊張感なんだと思います。あっ、どうも岩崎(チャーリーの飼い主)です。
0コメント